
2025年度 事業計画
昨年の能登半島地震では、BCPを始めとする事前対策の重要性と、地域の避難所対策等でカバーしきれない障害のある方への被災時支援、これには広域連携を含めた被災地外からの支援対策が求められる点が明らかになった。本会では、この教訓に加え豊田市での集団避難所支援での実践から得た成果をもとに昨年度新たに防災委員会を立ち上げた。今年度も、研修等による防災意識の高揚に努め、地区ごとの相互の応援体制や防災組織の構築に向け委員会を中心に取組んでいきたい。また、協会ホームページに防災コーナーを設け、防災マップの他必要な情報開示を行っていく。
さて、福祉分野における慢性的な人材不足の解消は喫緊の課題であるが、要因の一つである他業種との賃金格差に対し、国は一時金の支給を決めた。ただ、処遇改善他様々な加算の上乗せで成り立つ賃金体系そのものの解消には至っていない。調査等を実施し実態を把握した上で、日知協を通し報酬の適正化に向けて働きかけていきたい。また、事業所のICT導入に関し、現況調査から始め、活用可能な業務の割り出しやソフト開発までを検討していく。
人材確保に当たっては、本会ホームページ無料の求人案内を掲載し事業所支援を実施していく。また、「あいち障害者福祉プラン」の一環でもある「障害者グループホーム世話人確保事業」については、人材不足の中毎年実績を残している事業であり、引き続き受託し取組んでいく。
研修関係では、本会顧問である野澤和弘氏による次世代リーダー育成を目指したリーダー研修の他、日本福祉大学の綿祐二教授による初任者研修を開催するなど専門性の高い研修による効果を期待している。また、愛知県の職員研究大会を9月に開催予定で、部会横断的に共通する知的障害福祉に関する研究テーマをもとに、web研修では得られない仲間づくり・意見交換の場としても捉え、研修在り方検討会および研修委員会により企画・準備を進めていく。更に、本年度名古屋にて開催予定の障害者支援施設部会全国大会について、部会を中心に企画段階から参画し、開催県としてのサポートを行っていく。
権利擁護の関係では、報酬減算を伴う虐待防止や身体拘束防止措置が義務化された中にあっても依然支援者による虐待案件が後を絶たない現状を受け、真の虐待ゼロを目指して協会をあげて取組んでいく。具体的には権利擁護委員会を中心に検討会やセミナーを通して啓発活動を行っていくとともに、各部会においてもそれぞれの生活や活動の場で虐待防止の他意思決定支援、地域移行を含めた居住支援の在り方など権利擁護全般について検証していく。また、成年後見制度の利用促進に向けても愛知県サポート協会と連携し情報提供等を行っていく。
芸術面では、「あいち障害者福祉プラン」の中に位置付けられている「みんなのアート展あいち」についても継続実施し障害者アートの促進を図っていく。文化振興では、第4回「みんなのLiveフェスティバル」を開催し日頃の芸能音楽活動の成果発表の機会と捉え、実施と同時にネット配信も行う。また、アジアパラリンピックのプレイベントとして実施予定のイベント「We love Sports&Music」に賛同し、企画から実施までを支援していく。
広報活動としては、会報である「あいち愛護ニュース」の定期刊行、ホームページによる様々な情報のタイムリーな提供に努めていきたい。
スポーツの分野では、通例のソフトボール・フットベースボール大会実施の他、様々な競技への参加促進や情報提供をすすめ利用者のスポーツ振興を図っていく。
また、広報活動をはじめ様々な機会を通じ障害者支援へのポシティブなイメージ発信に努め、人材を呼び込みたい。
関連機関との関係では、引き続き各種障害者団体との協力・協働関係を維持し、県内福祉向上への寄与を心掛けていく。愛知県・名古屋市とは、障害福祉担当課との懇談会を開催し、各部会からの要望事項の提示と課題の共有によりサービス向上への対策を共に進めていく。
上記の内容に加え、職員処遇改善やサービス施策向上など事業所や会員からの要望に対し、政策審議会と対外対策委員会により、制度の改善や新たな福祉施策の提案などを、上部団体である公益財団法人日本知的障害者福祉協会東海地区会の政策委員会を通して国に対し要望を届ける活動を行っていく。また、会員相互の交流や情報共有をすすめるとともに、ホームページや広報紙を通し、協会活動のPRと各種事業の広報活動を行っていく。
このように会員事業所の安定経営と利用者サービスの向上、更には差別のない共生社会に向け、事業を進めていきたい。
各種事業における具体的内容は、次のとおりである。
1)協会組織の強化と会員事業所への支援
1 | 協会組織の強化 | 未加入事業所への加入促進を図るとともに、本会の部会・委員会活動等を通じ会員事業所との連携強化を一層推進し、組織の機能強化を図る。 |
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2 | 会員事業所への支援 | 部会・委員会活動や専門研修等を通し職員の資質向上を図る。 また、障害者権利条約を踏まえ、日本知的障害者福祉協会が定める倫理綱領等の周知を行うとともに会員事業所への情報提供や倫理意識の強化等に努め、重大事故や不祥事の防止を図る。 |
3 | 事務局の機能強化 | 業務の合理化・効率化を図るとともに、電子メールやホームペ ージの活用等により、会員施設・事業所に対するタイムリーな情報提供を一層推進する。 |
4 | 対外活動 | 愛知県および名古屋市をはじめ各市町村との連携強化に努めるとともに、各種審議会・協議会、ならびに懇談会等を通じ、今後の制度拡充に向けた提言を行う。 また、国会議員・県議会議員に対する情報収集活動を行うとともに、必要な政策提言に努める。 |
5 | 研修事業の充実 | 人材育成への取組み強化をはかるため、「研修在り方検討会」で方向性を検討し、研修委員会による企画、実施を行う。階層別研修に加え、職員研究大会を行うと共に、ICTの活用に関する調査・研究を実施するなど専門性と意識改革の追求を図る。 |
6 | 権利擁護事業の推進 | 事業所内虐待ゼロを目指し、権利擁護システムの構築に向けた研修会や権利擁護委員会での研究と検証活動を行う。また、虐待防止の徹底周知や成年後見制度の利用推進に努める。 |
7 | 大規模災害時の支援体制の強化 | 高い確率で発生が予想される南海トラフ地震を想定し、大規模災害時の応援体制や行政・福祉関係団体と連携した愛知県災害福祉広域支援推進協議会に参画するとともに、事業所の事業継続計画等について検討し会員事業所への啓蒙を図る。また、災害発生地への募金収集等の緊急的支援も手掛けていく。 |
8 | 審議会・委員会・部会・ 事業部の設置 |
本会事業を推進するため、重要な個別課題等を検討するために審議会・委員会・部会・事業部を次のとおり設置する。 <検討会> |
9 | 日本知的障害者福祉協会 研究会員の加入促進 |
障害児者福祉分野における今日的課題と対策を熟知するため、月刊誌「さぽーと」の購読を推奨し、同研究会員の加入促進を図る。 |
10 | 日本知的障害者福祉協会が実施する通信教育の推奨 | 専門職養成のため、社会福祉士養成講座、知的障害福祉士、知的障害援助専門員、基礎講座等、同協会が実施する通信講座を推奨する。 |
2)顕彰
- 愛知県知的障害者福祉協会表彰規程による顕彰の実施
功労賞、会長表彰、永年勤続職員(10年)感謝状 - 日本知的障害者福祉協会「愛護福祉賞」、「会長賞」「知的障害者福祉事業功労者表彰」の推薦
- 事業所役職員の褒章、叙勲対象者の推薦(愛知県・市町村に対し、褒章、叙勲、顕彰対象者を推薦)
3)地区・全国活動
- 大規模災害への支援
- 日本知的障害者福祉協会(中央・東海地区)への政策提言及び協力
- 日本知的障害者福祉協会発行「月刊さぽーと」誌の研究会員の拡大
4)各種団体との連携及び協力
- 愛知県知的障害児者生活サポート協会との連携
- 名古屋市知的障害者福祉施設連絡協議会との連携・協力
- 愛知県社会福祉協議会との連携・協力
- 愛知県及び名古屋の育成会との連携・協力
- 愛知県知的障害者施設家族会連合会との連携・協力
- 共同募金運動への協力
- 愛知県福祉連盟との連携・協力
5)職員・管理者研修事業の実施
- 令和7年度新規採用者研修及び基礎研修
共 催 名古屋市
開催日 2025年6月24日㈫、25日㈬
場 所 IMY会議室3F大会議室 - 階層別研修
管理者から新任職員までの階層ごとに、研修会を企画・開催する。
・初任者研修 7月~1月までの隔月開催(オンライン)
・中堅研修 7月24日㈭、25日㈮ 蒲郡市明山荘にて
・リーダー研修 8月 7日㈭、 8日㈮ 蒲郡市明山荘にて
・管理者研修 未定 - 2025年度愛知県知的障害関係施設職員等研究大会
開催日 2025年9月25日㈭、26日㈮
場 所 ロワジールホテル豊橋
6)東海地区会
- 第62回東海地区知的障害関係施設職員研究協議会
開催日 2025年10月1日㈬、2日㈭
場 所 グランヴェール岐山(岐阜県岐阜市) - 第63回東海地区知的障害関係施設長等研究協議会
開催日 2025年9月11日㈭、12日㈮
場 所 グランドホテル浜松(静岡県浜松市)
7)全国関係
- 全国知的障害関係施設長等会議
開催日 2025年7月10日(木)、11日(金)
場 所 東京国際フォーラム ホールA 他 - 全国知的障害関係施設職員研究大会
開催日 2025年11月27日(木)、28日(金)
場 所 福島県郡山市・ビッグパレット福島