2024年度 事業計画
新型コロナ感染症が5類に移行し、社会全体が落ち着きを取り戻し始めた矢先、年明け早々に起きた能登半島地震では、自然災害の恐ろしさと防災対策の重要性と課題が改めて浮き彫りになった。本会としても、物資による支援や募金活動の他、既に豊田市にて広域避難者の受入れを支援職員の応援派遣によって実施してきたが、引き続き被災者支援を継続し協力体制を取っていく予定である。
さて、本年度は報酬改定が実施され、1.12%プラス処遇改善加算統合による改定率(約1.5%)とはなったものの、生活介護はじめ種別によっては厳しい内容となっている。本会としては、改定による各事業所の予算執行推移を注視し実態を把握した上で、政策審議会・対外対策委員会を通して、報酬の適正化に向けて働きかけをしていきたい。
本会事業に関しては、既に通常の活動を取り戻しており今年度はさらなる充実を考目指していく。「あいち障害者福祉プラン」の一環でもある「障害者グループホーム世話人確保事業」については、人材不足にあって毎年実績を残している事業であり、引き続き受託し取組んでいく。また、同じく「あいち障害者福祉プラン」の中に位置付けられている「みんなのアート展あいち」についても継続実施し障害者アートの促進を図っていく。文化芸術振興では、第3回「みんなのLiveフェスティバル」を開催し利用者の成果発表の機会としていく。
研修関係では、本会顧問である野澤和弘氏による次世代リーダー育成を目指した「野澤ゼミ」の他、日本福祉大の綿祐二教授による管理者ゼミを複数回開催するなど研修効果の高いゼミナール形式の研修を通してブラッシュアップによる育成を目指していく。また、今年度は9月に開催予定である東海地区施設長研究協議会の担当県であり、2月開催予定の愛知県の職員研究大会とともに研修在り方検討会および研修委員会による企画・実施をすすめていく。
権利擁護の関係では、虐待防止法強化に伴い施策未実施による報酬減額が示されているが、依然支援者による虐待案件が後を絶たない。真の虐待ゼロを目指して、協会をあげて取組んでいく。具体的には権利擁護委員会を中心に検討会やセミナーを通して啓発活動を行っていくとともに、各部会においてもそれぞれの生活や活動の場で虐待防止の他意思決定支援、地域移行を含めた居住支援の在り方など権利擁護全般について検証していく。また、成年後見制度の利用促進に向けても情報提供等を行っていく。
広報活動としては、会報である「あいち愛護ニュース」の定期刊行、ホームページによる様々な情報のタイムリーな提供に努めていきたい。
スポーツの分野では、通例のソフトボール・フットベースボール大会実施の他、様々な競技への参加促進や情報提供をすすめ利用者のスポーツ振興を図っていく。
福祉人材の面では、依然厳しい状況が続いている。本会では、ホームページでの求人募集を引き続きすすめ、会員事業所の職員確保を支援していきたい。また、広報活動はじめ様々な機会を通じ障害者支援へのポシティブなイメージ発信に努め、人材を呼び込みたい。
関連機関との関係では、引き続き各種障害者団体との協力・協働関係を維持し、県内福祉向上への寄与を心掛けていく。愛知県・名古屋市とは、障害福祉担当課との懇談会を開催し、各部会からの要望事項の提示と課題の共有によりサービス向上への対策を共にすすめていく。
上記の内容に加え、職員処遇改善やサービス施策向上など事業所や会員からの要望に対し、政策審議会と対外対策委員会により、制度の改善や新たな福祉施策の提案などを、上部団体である公益財団法人日本知的障害者福祉協会東海地区会の政策委員会を通して国に対し要望を届ける活動を行っていく。また、会員相互の交流や情報共有をすすめるとともに、ホームページや広報紙を通し、協会活動のPRと各種事業の広報活動を行っていく。
このように会員事業所の安定経営と利用者サービスの向上、更には差別のない共生社会に向け、事業を進めていきたい。
各種事業における具体的内容は、次のとおりである。
1)協会組織の強化と会員事業所への支援
1 | 協会組織の強化 | 未加入事業所への加入促進を図るとともに、本会の部会・委員会活動等を通じ会員事業所との連携強化を一層推進し、組織の機能強化を図る。 |
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2 | 会員事業所への支援 | 部会・委員会活動や専門研修等を通し職員の資質向上を図る。 また、障害者権利条約を踏まえ、日本知的障害者福祉協会が定める倫理綱領等の周知を行うとともに会員事業所への情報提供や倫理意識の強化等に努め、重大事故や不祥事の防止を図る。 |
3 | 事務局の機能強化 | 業務の合理化・効率化を図るとともに、電子メールやホームペ ージの活用等により、会員施設・事業所に対するタイムリーな情報提供を一層推進する。 |
4 | 対外活動 | 愛知県および名古屋市をはじめ各市町村との連携強化に努めるとともに、各種審議会・協議会、ならびに懇談会等を通じ、今後の制度拡充に向けた提言を行う。 また、国会議員・県議会議員に対する情報収集活動を行うとともに、必要な政策提言に努める。 |
5 | 研修事業の充実 | 人材育成への取組み強化をはかるため、「研修在り方検討会」で方向性を検討し、研修委員会による企画、実施を行う。階層別研修に加え、人材育成セミナー、各種ゼミナール(野澤ゼミ、綿ゼミ)を実施し、専門性と意識改革の追求を図る。 |
6 | 権利擁護事業の推進 | 事業所内虐待ゼロを目指し、権利擁護システムの構築に向けた研修会や権利擁護委員会での研究と検証活動を行う。また、虐待防止の徹底周知や成年後見制度の利用推進に努める。 |
7 | 大規模災害時の支援体制の強化 | 高い確率で発生が予想される南海トラフ地震を想定し、大規模災害時の応援体制や行政・福祉関係団体と連携した愛知県災害福祉広域支援推進協議会に参画するとともに、事業所の事業継続計画等について検討し会員事業所への啓蒙を図る。また、災害発生地への募金収集等の緊急的支援も手掛けていく。 |
8 | 審議会・委員会・部会・ 事業部の設置 |
本会事業を推進するため、重要な個別課題等を検討するために審議会・委員会・部会・事業部を次のとおり設置する。 <検討会> |
9 | 日本知的障害者福祉協会 研究会員の加入促進 |
障害児者福祉分野における今日的課題と対策を熟知するため、月刊誌「さぽーと」の購読を推奨し、同研究会員の加入促進を図る。 |
10 | 日本知的障害者福祉協会が実施する通信教育の推奨 | 専門職養成のため、社会福祉士養成講座、知的障害福祉士、知的障害援助専門員、基礎講座等、同協会が実施する通信講座を推奨する。 |
2)顕彰
- 愛知県知的障害者福祉協会表彰規程による顕彰の実施
功労賞、会長表彰、永年勤続職員(10年)感謝状 - 日本知的障害者福祉協会「愛護福祉賞」、「会長賞」「知的障害者福祉事業功労者表彰」の推薦
- 事業所役職員の褒章、叙勲対象者の推薦(愛知県・市町村に対し、褒章、叙勲、顕彰対象者を推薦)
3)地区・全国活動
- 大規模災害への支援
- 日本知的障害者福祉協会(中央・東海地区)への政策提言及び協力
- 日本知的障害者福祉協会発行「月刊さぽーと」誌の研究会員の拡大
4)各種団体との連携及び協力
- 愛知県知的障害児者生活サポート協会との連携
- 名古屋市知的障害者福祉施設連絡協議会との連携・協力
- 愛知県社会福祉協議会との連携・協力
- 愛知県及び名古屋の育成会との連携・協力
- 愛知県知的障害者施設家族会連合会との連携・協力
- 共同募金運動への協力
- 愛知県福祉連盟との連携・協力
5)職員・管理者研修事業の実施
- 2024年度新規採用者研修及び基礎研修
共 催 名古屋市
開催日 2024年6月18日㈬、19日㈭
場 所 名古屋国際会議場 - 階層別研修
管理者から新任職員までの階層ごとに、研修会を企画・開催する。
・初任者研修 11月28日㈭、29日㈮ 蒲郡市明山荘にて
・中堅研修 6月6日㈭、7日㈮ 蒲郡市明山荘にて
・リーダー研修 未定
・管理者研修 2024年5月15日㈬~全5回(綿ゼミ) - 2024年度愛知県知的障害関係施設職員等研究大会
開催日 2025年2月6日㈭、7日㈮
場 所 ロワジールホテル豊橋 - ゼミナール
・「野澤ゼミ」…障害福祉に夢を描く次世代リーダー育成(30~40代)
・「綿ゼミ」…5月15日㈬~奇数月第三水曜日開催
6)東海地区会
- 第61回東海地区知的障害関係施設職員研究協議会
開催日 2024年11月6日㈬、7日㈭
場 所 ホテルグリーンパーク津(三重県) - 第62回東海地区知的障害関係施設長等研究協議会
開催日 2024年9月26日㈭、27日㈮
場 所 ロワジールホテル豊橋(愛知県)
7)全国関係
- 全国知的障害関係施設長等会議
開催日 2024年7月11日(木)、12日(金)
場 所 東京国際フォーラム ホールA 他 - 全国知的障害関係施設職員研究大会
開催日 2024年10月3日(木)、4日(金)
場 所 福井県・福井市フェニックスプラザ